乱世に救世主は現れるか!? 2015年の東アジアは、どこも「大乱」の予感 
(現代ビジネスより)

(文転載)
いつのまにか、今年も年の瀬になってしまった。「午年は乱の年」と古代中国人は言ったそうだが、その通りだった。だが2015年の未年は、さらに「大乱」の年になるのではないかという気がする。
そこで今回は2015年東アジア「5つの大乱」を予測してみた。

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1)習近平vs団派、習近平vs李鵬グループの仁義なき権力闘争

暮れも押し迫った12月22日夜8時、中国国営新華社通信が、わずか49文字からなるそっけない、かつ恐ろしい記事を報じた。

〈 中国人民政治協商会議第12期全国委員会副主席、中共中央統戦部部長の令計画を、重大な規律違反の容疑で、目下組織的に調査している 〉

この49文字は、習近平主席の「団派」と、「李鵬グループ」に対する"宣戦布告"に他ならない。

中国の主な政治派閥は、習近平主席を中心とした革命元老の子弟たちからなる「太子党」(2世議員)、江沢民元総書記率いる「江派」もしくは「上海閥」(李鵬グループも広義にはここに属する)、共産党の青年組織である中国共産主義青年団出身者たちを指す「団派」(もしくは胡錦濤総帥の名を取って「胡派」)の3派閥である。

このうち、2012年11月に中国共産党トップの党中央政治局総書記に就任した習近平は、この2年間かけて、主に「上海閥」を掃討してきた。その理由は、周永康前常務委員、薄煕来元重慶市党委書記(薄は「太子党」でもある)といった自分の仇敵が中心にいたこと、「上海閥」が公安・石油を始めとする巨大利権を保持していたこと、頭目の江沢民が88歳と高齢で以前のような鉄の結束がなくなっていたこと、汚職撲滅運動にかこつけて刺しやすかったことなどが挙げられる。

実際、2013年10月に薄煕来の無期懲役刑を確定させて監獄にブチ込み、この12月に周永康を逮捕した。この2年間の習近平の「猛攻」によって、いまや「上海閥」は虫の息だ。

そこで習近平は2015年、もう一つの巨大派閥である「団派」との権力闘争を開始したのではないか。加えて、山西省利権、電力・水利利権の総帥で、広義の「江派」に属する李鵬元首相(86歳)を標的にしたように思える。

「団派」は、全国に8000万人もいる中国共産党のエリート青年集団である。私も北京駐在員時代に彼らとつきあいがあったが、本当に優秀で、言うことがいつも正論である。だが、実行力に乏しかった。当時、日本で政権を担っていた民主党の議員たちと、非常に近いものを感じたものだ。

習近平主席は、その「団派」との全面闘争に出たのである。2017年秋の第19回中国共産党大会で、自らの「後継者」を選出しなければならないが、そこへ向けた布石を早くも打ち始めたのである。

現役政治家で「団派」のトップは李克強首相であり、「ポスト習近平」の呼び声高い「団派」のホープが、習近平主席よりちょうど10歳若い胡春華広東省党委書記である。そのため、習近平vs李克強&胡春華の熾烈な権力闘争が、2015年の中南海で繰り広げられることになる。

さらに、息子の李小鵬が山西省長を務める李鵬グループへの宣戦布告をしたにも等しい。「李鵬逮捕」と相成っても不思議ではない。

いずれにしても、中国政界は2015年も引き続き「大乱」である。


2)金正恩第一書記が率いる北朝鮮の危機

年末に、ソニー・ピクチャーズの映画『ザ・インタビュー 』の公開の是非が話題を呼んだが、北朝鮮を巡る情勢は2015年も引き続き大荒れの模様だ。

私は先週のこのコラム で、米朝接近の可能性について述べた。だが北朝鮮はオバマ大統領が重視する「表現の自由」に触れてしまい、アメリカは北朝鮮の文字通り生命線である金正恩第一書記の暗殺に触れてしまった(この映画のラストはヘリコプターに乗った金正恩が爆殺される)。長い目で見れば接近の可能性があるが、この数ヵ月は、この禍根が続くだろう。もっと具体的に言えば、3月に大規模な米韓合同軍事演習が終わるまでである。

実は北朝鮮を巡る情勢のカギを握るのは、中国である。2013年末に金正恩第一書記が、中朝間のパイプ役になってきた張成沢党行政部長を処刑したことで、2014年の中朝関係は最悪だった。習近平主席は原油・食糧・化学肥料という北朝鮮への「3大援助」を大幅に削減し、7月には北朝鮮より先に韓国を訪問した。羅先と黄金坪の東西二つの中朝経済特区もご破算となった。

そのため、北朝鮮は中国に代わってロシアに「後見役」を頼んだ。ウクライナ危機で「脱欧入亜」路線に大きく舵を切ったロシアとしても、北朝鮮は戦略的に重要だった。そこからロ朝接近が始まり、秋には李洙墉外相と崔竜海書記が立て続けに訪ロし、北朝鮮のインフラ整備をロシアが行うという合意に達した。

だが12月になって、原油安からルーブル危機が勃発し、ロシア経済がにわかに危うくなってきた。そこで、果たしてロシアは北朝鮮を救うほどの経済的余裕があるのかという疑問が生まれてきたのだ。

そうなってくると、やはりカギを握るのは、北朝鮮の隣の経済大国・中国なのである。12月17日、劉雲山・中国共産党中央政治局常務委員(序列5位)が、北京の北朝鮮大使館で開かれた金正日総書記死去3周年の式典に参列した。この一年間なかった中朝の高官往来が復活したのである。

だが2015年に中朝関係が完全に修復するかと言えば、それは難しいだろう。習近平主席は北朝鮮に対して、核・長距離ミサイル実験を行わないことと、(核開発中止を協議する)6ヵ国協議に無条件で復帰することの2点を要求している。だが金正恩政権にとって、この2点は呑めないからだ。

核・長距離ミサイル実験については、北朝鮮はこれまで数年周期で強行してきた。特に重要な核実験の方は、1回目が2006年10月、2回目が2009年5月、3回目が2013年2月である。すなわち1回目から2回目が2年7ヵ月、2回目から3回目が3年9ヵ月である。2回目から3回目までの方が間隔が長いのは、金正日総書記の死去が、2011年12月にあったためだ。

数年間の周期をおくのは、核と長距離ミサイル実験合わせて3,000億円とも言われる莫大な費用がかかることと、技術を進歩させるのに時間がかかるからである。このため、2015年の実験は常識的に考えればないが、金正恩第一書記の行動が常識で量れないのは周知の通りだ。

加えて、いまの金正恩政権の政権基盤は、北朝鮮が1948年に建国して以降、最も揺らいでいると言っても過言ではない。張成沢を処刑し、2000人とも3000人とも言われる党・政府幹部を調査したことで、幹部の忠誠心は急低下している。経済失速が甚だしい上に、無用の長物である馬息嶺スキー場に3億ドルもの貴重な国家予算をつぎ込んだりして、その政治手腕に対する信頼も揺らいでいる。聞くところによれば、今年の冬も凍死者と餓死者が続出し、その影は首都・平壌にまで迫っているという。

こうした中、中国の習近平政権がどう出るのか、それがカギを握るのである。すなわち、苦境の金正恩政権を救うのか、それともアメリカと歩調を合わせて金正恩政権を転覆させるのかという二者択一である。中国がどちらのベクトルに向くのかによって、金正恩政権の命運が決まると言っても過言ではない。

繰り返しになるが、習近平主席は原理原則がはっきりしている政治家で、北朝鮮に対する要求は、前述の2点である。このうち、金正恩第一書記ができるギリギリの選択は、6ヵ国協議に復帰して時間を稼ぐという戦術だろう。

いま見る限り、金正恩第一書記は5月にロシアを訪問し、6ヵ国協議の復活を宣言しようと考えているのではないか。だが、「平壌奥の院」が不穏であることに変わりはない。金正恩第一書記の「朴正煕型の最後」を、周辺国は常に覚悟しておくべきだろう。


3)韓国・朴槿恵政権の迷走

12月19日に韓国ギャラップ社が発表した朴槿恵政権の支持率は37%と、就任以来1年9ヵ月で最低を記録した。思えば今年の韓国も、4月のセウォル号沈没事件から12月の鄭允会氏の「青瓦台」(韓国大統領府)人事介入事件まで、内外を騒がす出来事に事欠かなかった。

韓国の大統領の任期は5年だが、歴代政権の動向を見る限り、任期の半ばを過ぎると徐々にレイムダック化していく。それを取り戻すべく、北朝鮮訪問を画策したり、極端な反日路線に走ったりというパターンだ。

朴槿恵大統領の場合、私見だが、そもそも大統領になるべき人物ではなかったと思う。私は大統領になる前の朴槿恵氏にインタビューしたことがあるが、日本で言えば皇室のやんごとなき方というイメージだった。「国民の統合の象徴」タイプなのである。北朝鮮と対峙する韓国軍の最高司令官として時に無慈悲な政策を遂行したり、辣腕を発揮して海千山千の韓国政界を統治していくタイプにはとても見えなかった。

こうした人物を大統領に選んでしまった韓国国民は不幸なのかもしれないが、とにかく2015年は朴槿恵大統領のボロがますます出てくる年になるだろう。政治的には、次期大統領候補筆頭である朴元淳ソウル市長を始めとする左派からの突き上げが、今以上に激しさを増すことが考えられる。

経済的には、1月に中国とのFTA(自由貿易協定)が発効することは吉報だが、10大財閥で韓国の全GDPの76.5%といういびつな構造は、改善される見通しが立たない。格差社会は広がる一方で、そうした庶民の不満が、暮れのナッツリターン事件となって爆発したのだ。12月24日に韓国銀行が発表した消費者動向調査によれば、景気の動向を示す指標の一つである消費者心理指数(CCSI)は、10月、11月、12月と3ヵ月連続で下落した。

総じて言えば、朴槿恵政権が3年目で早くもレイムダック状態になり、5年の任期をまっとうできるかどうかさえも危うくなるという状況も出てくるのではなかろうか。すなわち韓国の2015年もまた、「大乱」である。


4)台湾で巻き起こる左派の逆転

2015年末から2016年初にかけて、台湾に立法院選挙と総統選挙という政治の大波がやってくる。まず、2015年12月の立法院選挙では、現在、与党国民党65議席、野党民進党40議席、その他8議席という議席数が、そのままひっくり返る可能性がある。すなわち、全113議席中、民進党が3分の2、国民党が3分の1となるということだ。そこまで行かなくても、民進党が第一党に返り咲くのは必至の状況だ。

台湾では2014年11月に統一地方選が行われ、私は現地取材に行ったが、台湾人の国民党に対する反感は根強かった。それはすなわち、中国大陸に対する反感と言ってもよかった。そのため統一地方選では、6大直轄市のうち5都市で国民党が敗北し、薄氷差で新北市の朱立倫市長が再選を果たした。だが朱立倫市長は、2016年1月の総統選挙に関して、早々と不出馬宣言をしてしまった。今回出馬したら負け戦となり政治生命を絶たれると判断したものと思われる。

こうしたことから次期総統は、かなり高い確率で、民進党の蔡英文主席が勝利するだろう。韓国に続き、台湾でも初の女性総統の誕生である。

民進党は綱領に「台湾独立」を謳っているが、実際には台湾経済は貿易の3割、輸出の4割を中国大陸(香港を含む)が占めている。そのため蔡英文政権は、のっけから理想と現実との乖離に悩まされることになる。特に現在の中国大陸は、強権で知られる習近平政権である。

蔡英文政権は、歴代政権以上に中国大陸との関係に苦悩するだろう。すなわち、台湾も「大乱」を予感させる。


5)安倍晋三政権に黄信号

最後にわれわれ日本の安倍政権だが、こちらも順風満帆とは行きそうにない。安倍政権のことは、現代ビジネスの他のコラムで専門家たちが百花斉放百家争鳴なため、ここで多言はしないが、一つだけ述べておきたい。それは、安倍首相の健康問題である。

首相という職業が日本一ストレスが溜まるものであることは想像に難くないが、安倍首相は潰瘍性大腸炎という持病を抱えながら、丸2年にわたってこの激務を続けている。安倍氏がこの持病が激化して首相を辞任したのは、わずか7年余り前のことだ。

2012年12月の総選挙で勝利した時と、今回の総選挙で勝利した時のテレビ映像を見較べてみてほしい。まるで別人のように窶(やつ)れていることが分かる。その表情も語調もだ。

看板のアベノミクスは首相自ら「道半ば」と言っているように、いまだ成功していない。2014年の安倍外交を振り返ると、アメリカとのTPP(環太平洋パートナーシップ協定)交渉、ロシアとの北方領土交渉、北朝鮮との拉致問題、インドとの新幹線売却問題など、成功よりも失敗の方が目立った。

こうした内外のストレスが山積する中、果たして長期政権を築けるのか。中国では「病は山が倒れるように(突然)やって来る」という言い方があるが、2度目となる突然の「Xデー」を迎えぬよう、健康管理には十分気をつけてもらいたいものだ。

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かくして2015年の東アジアは、どこも「大乱」の予感がする。残念ながら、「羊のようにおとなしく」という地域は一つもない。中国では「乱世にこそ英雄が出る」と言うが、東アジアにも救世主が現れることを祈りたい。

(転載終了)


第二次大戦後アメリカにより「極東」と言われていたのは、日本・韓国・フィリピンの三国であった。この三国に兵を駐留させ、対共産圏の睨みを配置した。

そして、アメリカはこの三国には仲良くしてもらわないといけなかった。フィリピンはアメリカを一度は手放したがふたたび呼び戻し、韓国はアメリカの見捨てを呼び戻した。日本は相変わらずのポチであるが、アジアの最重視と謳いボスは戻った。

だが、決してこれが暗にアメリカがアジアの救世主になるとは思わない。救世主はアジア人自身がなるべき。そうでなければならないし、そうであるべきものである。そこで私見だが、やはり日本から救世主が出て欲しいと願いたい。

江戸時代から明治時代へと開国し、そのわずか5年後には絹製造で先の世界遺産で登録された富岡製糸場の通り世界一になり、第二では国土を木っ端微塵にされても廃墟から経済大国になって世界を牽引してきた。

そして、経済大国から引きずり下ろされ、長い長い不況が今も続いている。平和ボケや売国奴などの言葉も現れ、しかしそれらの言葉は常に希望に対する願望の反動であり、他力本願な精神状態から成っていると感じる。


乱世の時代こそ救世主が現れる

真の勇者はいったいどこか?人為的な担ぎ出しではそれは傀儡にしかなれない。この者は自然に現れるものであり、その時期は荒れた真っ只中に違和感なく存在し始める人間であろう。

この者が現れたときは何人とも肌で感じることができる。かろうじてまだ残っている第六感が働いて気付くものである。と同時に潰したい連中がいることも忘れてはいけない。現れたこの者を全力で護らないとならない。

日本この国がふたたび目覚めることを。