アジアで展開、水を巡る戦争


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© Collage: VOR

ロシアの声より
http://japanese.ruvr.ru/2015_01_17/282178544/
(転載開始)
スペインのサラゴスで毎年恒例の国連水資源会議が開催されている。会議のテーマは「水と堅実な発展、ビジョンから行動へ」。

水資源というテーマはアジア諸国にとっては実に重要なものだ。アジアでは水を巡る正真正銘の戦争が展開されているといっても過言ではない。これは多くの場合、輸送手段としての河川の利用と関連している。

そうした河川は数カ国にまたがって流れている。アジアの河川の多くはその源をチベットとヒマラヤという2つの巨大な山岳体系に有す。アジア諸国の目覚ましい発展は電力需要の高まりを生んでおり、当然のことながら諸国はこれを満たそうとし、チベット、ヒマラヤの河川上流に発電所を建設している。

インド、ブータン、ネパール、パキスタンは互いに依存せずにヒマラヤ山ろくにあわせて400以上もの堤防、ダム、その他の水力発電関連施設を作ろうとしている。これらが完成すれば16万メガワット時以上の送電が可能となる。

ヒマラヤにある32の峡谷のうち河川の流れ込む28箇所で水力発電所の建設が計画されている。この計画が実現化された場合、インド領内のヒマラヤは世界でも最もダムや堤防の集中した地帯となるだろう。

チベットを源流とする大河川の全てにおびただしい数のダムを作ろうとしているのは中国だ。チベットに水源を持つ大河川はブラフマプトラ、メコン、長江、黄河などの川だ。

チベットに水供給を頼る人口は世界のほぼ半数にあたる。上流域に堤防を建設すれば、当然その流れは縮小し、平地に暮らす住民の必要な生活用水が損なわれる。特にこれは農業に顕著に現れる。

ここでは河川からの農業用水のおかげで山岳地帯の氷河が溶ける乾季にも水を得ることができ、二毛作が可能な地帯となっている。だがコンピューターによる気候予測では、ヒマラヤから流れ出る主要河川は氷河が溶け出すにしたがって2050年までに水量の10-20%を失う危険性があることがわかっている。

これは河川の発電量を縮小させるだけではない。国と国の間の緊張も高めてしまう。新疆ウイグル自治区のある天山山脈に水源を持つ河川は多い。カザフスタンを流れる大河川、イルティシ川もそのひとつだ。

新疆ウイグル自治区では生産が集中的に伸びているが、これは中国でのこの地域の水利用量を増大させ、当時にカザフスタンでの体系的な水不足を招いてしまった。

  この状況はメコン川でも同じだ。メコン川は東南アジア最大級の河川であり、これを水源としてビルマ、タイ、ベトナム、ラオス、カンボジアの5つの国の1千万人もの人々が暮らしている。

  ロシア科学アカデミー、東洋学研究所のドミトリー・モシャコフ副所長は、水利用の問題は諸国と中国との関係を非常に悪化させたとの見方を示し、次のように指摘している。


「中国はメコン川上流に巨大なダムを伴う6つの発電所を建設した。乾季になると水は中国領内に残るようになった。これがメコン川の水文地質学を深刻に悪化させている。
これが、大メコン地域発展プロジェクトがなぜストップしたかの最も重要な一因となっている。このプロジェクトには中国の東南アジアにおける自国の影響力拡大を狙って参加していた。メコン川流域諸国は中国に対して大きな警戒感を示し、それに対抗し、釣り合いをとるために巨額の支援金を出してくれる日本を頼りにした。
中国は自国のイメージ改善を図り、定期的に水を放出するダム建設を約束し、7基目の発電所建設を延期した。」



堤防が阻害するのは農耕だけではない。河川の生物資源にも脅威となっている。たとえばラオスにある巨大なクサヤブリ堤防はメコン川の主要な流れに出来た初の水力技術施設になるべくものだ。

他のインフラを伴う堤防や、他の堤防は単に河川からの大量の水を要するだけでなく、その流れを弱め、川底を泥で埋めてしまうことになる。これは世界でも最も豊かな資源とされるメコン川の豊富で多量の魚資源に根本的な影響を及ぼすだろう。

  成長を止めることは出来ない。産業はこの先も伸張し、水力発電施設は作られ、環境、農業に損失をもたらし続けるだろう。その結果、最後は人間の生活まで脅かされることになる。ここでさらに強まるのは、自然への関与をより真剣に考慮した、代替するエネルギー源の模索となる。
(転載終了)