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深層レポート「天皇陛下が脳貧血で倒れた夜」に起きたこと

学習院の同窓会の後に…

現代ビジネスより

(以下転載)

去る7月2日、「天皇陛下が体調不良を訴え、医師の診察を受けた結果、脳貧血と診断された」との一報が駆け巡った。生前退位を目前に控えての心配なニュースだが、その後、詳細は報じられていない。いったい何が起きていたのか?

猛暑の日に行われた「同窓会」

7月1日、日曜日。東京都心で最高気温が32度に達したこの日、天皇の姿は母校・学習院初等科(新宿区若葉)にあった。14時から開催される同窓会に出席するためである。格式あるその同窓会は「初等科桜友会」という。

正堂(講堂)で総会が行われたあと、約500人の参加者は食堂へ移り、会食となった。昨年まで桜友会総会議長を務め、天皇の学友としても知られる明石元紹氏が、当日の天皇の様子をこう語る。

「みなさんノータイ姿の中、陛下は背広に革靴で来られまして、大変に暑い日でしたから、大丈夫かなと少し心配でした。私は陛下と同学年ですが、この歳になりますと、やはり暑さを感じにくくなりますしね。ただ、今年は天皇陛下として最後の桜友会ということもありましたから、正装されたのかもしれません」

天皇は、学習院の内藤政武院長、常磐会(学習院女子中・高等科同窓会)の近衞甯子(このえ・やすこ)会長、桜友会の東園基政会長らとテーブルにつき、談笑しつつ旧交を温めていた。だが、食事にはあまり手を付けなかったという。

宮内記者が言う。

「このところの急な猛暑続きで、ご体調が万全でなかったようです。加えて、来年に迫った退位、年々減っていく旧友…そうしたことを陛下がお考えだったどうかはわかりませんが、この日はややお酒のピッチが早く、いつもより酒量も多いご様子だった」

天皇にとって学習院、とりわけ初等科の級友たちは、戦時中、ともに疎開し空腹に耐えたという特別な思いがある。どうしても、会っておきたい仲間たちだった。

東園桜友会会長と内藤学習院院長の挨拶が終わると、歓談になった。天皇はテーブルを離れて、同級の仲間、前出の明石氏ほか3人に歩み寄った。

「今年は(同級生が)4人来ましたね」

明石氏が言うと、天皇は顔をほころばせながら応じた。

「もう最近は、テニスもしんどくなってね。外で運動できないから、室内で卓球をやっているんだよ」

1時間半ほどで帰途についた天皇の笑顔は、やや赤らんでいた。ゆっくりではあったが、足取りは矍鑠たる、しっかりとしたものだった。級友たちはその後ろ姿を叩頭して見送った。

貧血と栄養失調

日ごろ、侍医たちは24時間体制で天皇の健康管理にあたっている。その侍医から天皇は、つねづねこんな注意を受けていた。

「夜のお小水のときは、急がずゆっくり起きてください。ゆっくり起きていただかないと、頭に血流が行かず、転倒してお怪我をする心配がございますから」――。

桜友会から帰ったその夜の未明、7月2日午前4時ごろ。天皇は目を覚まし、トイレに立とうとした。その刹那、目の前が真っ暗になり、倒れ込んでしまった。

すぐに侍医が駆けつけたものの、立ち上がることができず、

「皇后を、美智子を…」

とかろうじて言葉を発した。侍医は女嬬(にょじゅ)に「皇后陛下をお呼びしてください」と伝える。急変は直ちに侍医長と宮内庁病院にも通報された。

その場で応急処置が行われた。脈拍と瞳孔、呼吸状態を観察し血圧を測る。5分と経たないうちに天皇の寝室に駆け付けた美智子さまは、「陛下!陛下!」と懸命に声をかけるとともに、侍医に尋ねて状況把握につとめた。

「宮内庁病院へ行くのですか?」

「いま連絡しています。血圧、呼吸などはしっかりしていますので、このまま処置させていただきます。ご心配には及びません」

侍医は、玉体を動かすのは危険と判断したのかもしれない。

その後、天皇の容体が落ち着いてから診断結果の報告を受けた美智子さまは、ショックを隠しきれない様子だったという。

脱水性脳虚血。そして栄養失調――。

「一時は脳梗塞も疑われましたが、倒れられたのは貧血のためだった。ご高齢で最近はお食事の量も減り、ミネラルや鉄分を十分に摂取できていなかったのが原因だったようです。その後、しばらくは吐き気も続いたと聞きます」(宮内庁職員)

2日の高円宮絢子女王と守谷慧さんの婚約内定報告は欠席、3日以降に予定されていた昼食会などの公務も当面中止・延期となった。4日午前の時点でも、御所での静養が続いている(4日午後から、一部公務復帰と報じられた)。

一方で首相官邸には、早い段階で「重篤というわけではないが、天皇の心臓は加齢にともなって弱っていること」、そして「軽い脳梗塞が起こった疑いが拭えないこと」が伝えられた。それを受けて、政府は宮内庁に対し、必要以上の情報開示を慎むよう指示しているという。

事実、詳しい容体に関しては、宮内庁の発表にもとづく「2日午前4時ごろに急な発汗があったため、侍医が診察して脳貧血との診断を下した」「めまいと吐き気、腹痛があるが、熱はない」ということ以外、ほとんど報じられていない。


「陛下のご症状は、宮内庁の発表よりも重いのではないか」と証言するのは、宮内庁から委嘱される医師だ。

「宮内庁も懸念しているように、心配なのは脳梗塞、つまり脳にごく小さな血栓が詰まった可能性です。精密検査を行ったうえで、しばらくは安静にしていただく必要があります。高齢者の極小脳血栓は珍しいことではありません。50代や60代の若い方でも発症することがありますから、80代となりますとなおさらです。

陛下には抗血栓薬、ビタミン剤、ミネラルなどが点滴で投与されています。もうひとつ、お歳を考えると注意が必要なのは、寝た状態が長引く場合、脚の筋肉が衰えてしまうおそれです」

天皇が自ら希望した「生前退位」の期日は2019年4月末、まる9カ月後に定められている。ある宮内庁幹部は、こんな心配を口にした。

「いま腐心しているのは、陛下のご静養をあまり長引かせないことです。陛下ご自身がもっとも考え抜かれた『象徴天皇』のあり方とは、『退位するその日まで、国民と向き合う姿を保持することが務めである』というもの。退位されるその日も、車椅子ではなく自らの足で歩かなければならないと、陛下はお考えだからです」

平成の終わりは、時代の区切りであるだけでなく、天皇皇后にとって、人生の大きな転換点となる。その日を万全の体調で心安く迎えていただくためにも、いまはただ、快復を願いたい。

(転載終了)


平伏して玉体の御快復をお祈り申し上げます。